同級生は皆振袖を着ているけれど、若くして結婚した自分も同じように振袖を着ていいものか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、そもそも振袖とはどのような着物か、若い既婚者が振袖を着てもよいのか、既婚者が着るべき着物とはどのような着物かについてご紹介します。
そもそも振袖ってなに?
振袖とは
卒業式や成人式などでよく見かける振袖。他の着物と比較すると袖が長いのが特徴の着物です。卒業式、成人式、結婚式、結納などの改まった場で着用される振袖は、実は 3パターンあります。例えば、多くの人が「振袖」という言葉で思い浮かべる行事の成人式では、「中振袖」というタイプが使用されています。この他にも小振袖と大振袖があり、小→中→大の順に格式が高くなっていきます。そのため行事によって振袖のタイプを変えるのがマナーです。
振袖の歴史、起源
江戸時代以前、若い女性に加え、元服前の男性も着用していた振袖は、長い袖丈の分、生地をふんだんに使うことができる、つまり裕福さの象徴でもありました。
さらに踊り子の間で着用されるようになり、これが振袖を若い女性のものとするルールに影響を与えたとも言われています。
1700年代初期の第 6代将軍・家宣の時期には、若い女性に限定した華やかな装いとして振袖が着られるようになり、その後未婚女性の第一礼装として現代に受け継がれるようになりました。
既婚者が振袖を着るのはありなのか?
それでは、独身女性の正装である振袖を既婚者が着用するのは「あり」なのか、「なし」なのか……答えは「基本的には、なし」です。若くして結婚した 10代後半~ 20代前半の方であれば、既婚者ではあれども、振袖を着用していることに周りの人は違和感を感じないかもしれません。
しかし、その人が既婚者であることを知っている親族、親戚、友人から見ると、振袖を着用している姿には違和感がありますし、マナー違反として咎められる可能性もあります。しかし、既婚者なら絶対にいつ何時も振袖を着てはいけないのかといえば、そういうわけでもありません。既婚者であっても、卒業式や成人式などの行事であれば、振袖を着ても構わないでしょう。
【公式】既婚者が着る着物
黒留袖
黒留袖はもっとも格式の高い礼装であり、既婚者に限定された着物です。若く独身だった時代と一区切りつけるために、袖を短く留めたもので、紋付( 3~ 5つ)で無地のちりめん生地を使用してあります。
色留袖
色留袖は、黒留袖の次に位の高い礼装です。黒以外の色が用いられ、その鮮やかかつ華やかな色・柄ゆきが特徴となっています。黒留袖と異なり、結婚の有無にかかわらず成人後の女性であれば着用できるのが特徴です。
訪問着
訪問着は格式が黒留袖と小紋の中間にある、使いやすい着物が必要だという背景から生まれた着物です。黒留袖よりは格式が低くなりますが、やわらかな色使いが多く、観劇やお宮参り、七五三など、結婚の有無に関係なく幅広く着用できるという特徴があります。
色無地
黒以外の色の一色を使って色染めされた着物を色無地といいます。お茶会や琴・華道・茶道などの習い事に着用していくこともでき、紋を入れる数によっては紋なしの訪問着よりも格があがります。こちらも結婚の有無は関係なく着用できる着物です。また紋なしでは街着感覚で着用できることから、普段使いしている人もいます。
迷ったら訪問着がおすすめ!
振袖を着ていても違和感がないほど年齢が若い人は、振袖を着てもよいか迷うところですが、基本的に既婚者が振袖を着ることはしきたりに反しています。ただし卒業式などの学校行事の際にすでに既婚者である場合、振袖を着用することは構わないとされています。もしなにを着ればよいのか悩んでいるのであれば、未婚でも既婚でも着用することができ、黒留袖のように立場やシチュエーションにあまり左右されない「訪問着」がおすすめです。