美しいしぐさが着物美人の近道
着物を着ている特有のマナー・決まり事があります。せっかく着物を着ても、決まり事を守っていないと格好と作法がちぐはぐになってしまいます。着物を引きたたせることが出来るようになるのはもちろん、他にも着物を着ている女性がより美しく見せるためのマナーと作法をご紹介します。
玄関先でのおじぎ
よそ様のお宅を訪問する際はチャイムをならす前にまず、着物の身なりをもう一度正します。ショールをつけている場合は、必ず玄関前で外し、手荷物はまとめて持ちましょう。ショールは左腕に掛けます。
玄関に入ると、上り框に荷物を起き、挨拶をします。挨拶の言葉を述べてから、お辞儀をします。この時、お辞儀をしながら挨拶の言葉を述べるのはマナー違反とされています。ついついやってしまいがちなので注意しましょう。
立礼をする際は、相手よりお辞儀が浅くないように注意しましょう。女性の場合は腰を30度に曲げながら、両手を膝の中間に持って行きます。手を重ねる際は左手が上で、右手が下です。体を起こす際は、頭だけが残らないようにしましょう。
履き物の脱ぎ方
まず上がり框に腰掛けて片足ずつつま先を地面から浮かせるようにし、重心をかかとに移動してすっとかかと側にスライドさせます。両足を揃え、上がり框に上がります。上がったら体を斜め方向に向けて、しゃがみ、左手で右手の袂を抑えながら右手で履物を揃えます。ここでの注意は履物をあとから揃えずに済むように後ろ向きに上がり框に上がり込むことです。一見きちんと揃えて履物を脱いで入れるので良さそうに思いますが、マナー違反です。上がってから履物を揃えるのが正解です。上がり框がないところでもやり方は同じです。
和室でのあいさつ
客間に通されたときには、まず下座で待ってあいさつをします。移動の際には、畳のへりや座布団を踏まないようします。すすめられてから座布団に座ります。すぐに座布団の上に乗ってはいけません。座る時の動きの順番は、まず座布団の横、もしくは後ろで星座をします。それから軽くこぶしをつくるようにして、座布団の真ん中に座るようにします。移動するときは、立ち上がるのではなく膝で動くイメージです。そこで体の大きな上下動がないように、ということです。
座ってからのあいさつは、両手を膝の前について、三角形を作るようにして頭を下げます。手みやげは、挨拶がすんでからタイミングを見て渡します。風呂敷や袋から中身を出して正面を相手に向け、両手で渡します。相手の方が座っているときには立ったまま挨拶をするのは失礼に当たりますので気を付けましょう。
座布団のマナー
座布団はここに座ってくださいという意思の表れです。勝手に動かして座ってはいけません。動かしてから座るのはマナー違反となります。座る際には座布団に触れないように心がけ、その場所にしっかりと座ります。また、謝罪に訪れた際などの場合は、座布団を辞退することで誠意と謝意を表すというケースもあります。座る前に一例をして、その後で座布団の横に正座で座ります。その後で座布団の両端を手で触れるような形で置き、後は身体ごと持ちあげるような形で座ります。この時持ちあがらないようなら上げやすい感じで手を置いても構いません。難しい方は斜めに移動する形でも大丈夫です。端の方から滑らせるような形で移動し、中央に正座をするようにします。決して座布団の位置を動かしてはなりません。
和室での立ち方
その正座で座っている状態から立ち上がる作法として、まずかかとを立てます。両方のかかとを立てるようにすると、自然とお尻がその上に乗るような形になります。かかとを立てたときには、そろえるようにするということがポイントです。そうしてから今度は、片膝を少しだけ立てるようします。このときに着物が少し捲れてしまいそうになることがあるので、そのようなことがないように手で抑えながら行うようにします。右足から立ち上がるようにすれば、きれいに立ち上がることが出来るようになります。
椅子の座り方
着物を着なれていないと座り方の違いが出ます。端的に、振袖の長い袖をだらりと下げて床についてしまうような状態にしているのは明らかに外見が悪いのでわかりますが、どのように気を付ければいいでしょうか。
まず椅子の左側に立ちます。椅子の背を軽く持つようにして右足から椅子の前に立ち、左足をそろえて、椅子の正面に立ち、裾をそろえたまま浅めに腰かけます。背筋はまっすぐに、両手は膝の上でそろえて、両足はそろえて垂直です。背もたれを使うと帯がくずれるおそれがあるので、使いません。足をぶらぶらさせるのは、洋服と同じで見苦しいとされていますのでやめましょう。 また、目上の方が入室されたときなどはすぐ立ち上がり、その方が着席されてから座るようにします。
食事編
着物で食事をとる際には、食べこぼしや、羽で着物を汚さないように気をつけなければいけません。大きなハンカチを用意し、膝に掛けて下さい。足下以外にも汚れがつくことが気になる方は、着物エプロンを着用することもお勧めです。着物エプロンは、小さく折り畳めるので、外出するときの持ち運びも簡単です。
遠くにあるものを取る際には、必ず袂を抑えます。袂を抑えずに腕をにょっきり出すと、誤って汚してしまう危険や、食器を倒す危険が非常に高いです。
また袂を持つのは、腕を見せないためでもあります。腕が見えないことが美しさに繋がるので、隠しましょう。
和洋問わず、デザートを頂く時には、机と自分との距離を拳一つ分あけます。食べこぼし防止の為にも、いつもより小さなお口で品良く食べましょう。「頂戴します」と一言添えてから、まず軽く一口だけ口に運びます。このとき、使っていないほうの手は、添えるようにして頂きます。