お宮参りは赤ちゃんの長寿・健康・幸福を願って行われる大切な行事です。しかし、古くから伝わる行事のため、参拝時のルールや、撮影時にどこまでの親族を含めるのか、正直あまり理解できていないという方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、お宮参りの際の参拝者の服装や、お宮参り後の写真に祖父母も写るべきか否か、その他撮影時の注意点についてご紹介します。
そもそもお宮参りって?
お宮参りが行われるようになったのは室町時代からと言われています。室町時代では子どもが産まれても、今のように医療が発展していなかったことや衛生的ではなかったことから、乳幼児の死亡率が高かったのです。今では予防接種で防げる麻疹(はしか)でも亡くなる赤ちゃんも多くいました。そのような時代に、我が子に1日でも長く、そして健康に生きてほしいという思いを儀式化したものがお宮参りです。お宮参りでは、生まれてきた子どもの健康と長寿、幸福を願って神社にて祈祷してもらいます。現代では祈祷はお宮参りの一環であり、その後の記念写真撮影や、食事会も重視されるようになっています。
お宮参りの基本
お宮参りが行われる本来の目的は、生まれてきた赤ちゃんの長寿・健康・幸福を願うものですが、古くからある行事のため、さまざまなしきたりがあります。どれも地域差があり、地方によっては真逆の風習を持つところもありますが、以下に一般的なお宮参りの基本についてご紹介します。
服装は和装?洋装?
お宮参りの際の服装は、主役である赤ちゃんにどんな服装をさせるかに両親や祖父母の意向が反映されることから、親族全体の服装も、赤ちゃんの服装に沿う場合が多いです。赤ちゃんが慣わしを踏まえ祝い着を掛けている場合は、母親も色留袖あるいは訪問着といった和装で揃えるとバランスがよいです。一方、赤ちゃんがベビードレスにケープなど現代的な洋装の場合は、母親もスーツやワンピースなどの洋装で合わせるとバランスがよいでしょう。父親も同様で、赤ちゃんや母親の服装合わせるのがよいですが、最近はスーツで参列する姿が多いです。
お宮参りは神事であることから基本的にみな正装するため、あまりにもカジュアルな装いは周囲から浮いてしまいます。和装する場合は周囲に助言者となれる経験のある親族や友人がいたり、レンタルならお店の人に聞けもしますが、洋装する場合は線引きが難しいところです。いかにもフォーマルな装いが嫌な人は身近な経験者を見つけて相談して決めるようにしましょう。
誰と行けばいい?
お宮参りの主役である赤ちゃんとその父母、赤ちゃんの兄弟・姉妹は基本的に参加します。核家族も増えている中、家族のみでお宮参りを行う家庭も多くなっていますが、古くからのしきたりでは、本来お宮参りでは父方の祖母(姑)が赤ちゃんを抱いて参拝することとなっています。これは、「産後間もない母親の体をいたわるため」「出産自体が血にまみれた穢れ(けがれ)たもののため」などの諸説があります。しきたりに従うのであれば、父方の祖母も参加した方がよいのですが、現代ではこうしたしきたりも徐々に廃れてきているため、「両家が揉めなければ」母方の祖父母が参加しても、両家の祖父母が参加しても問題はありません。しきたりかどうかは別として、新しい命の誕生を祝う気持ちは親族であれば自然に湧くもの。面倒に思わず親族には事前に声をかけて、来れる人みんなでお祝いしてあげましょう。
神社はどうやって選ぶ?
参拝する神社は産土神(うぶすながみ)といって、本来、母親が妊娠中に住んでいた土地を守っている守護神のいる神社です。産土神は、その土地で生まれた人にご加護をくれる神様ですが、それがどこの神社がわからない……という人もいるでしょう。そのような場合は、神社本庁の地方機関である神社庁に問い合わせると、すぐに教えてもらうことができます。
しかし、現在はわざわざ産土神を探さずに、有名神社に参拝する人もかなり増えています。有名神社であれば、祈祷・記念写真・食事会などのセットで予約することができるため、利便性が高く、効率性を重んじる人や、神社の大きさで選ぶ人にもよく選ばれています。
そもそもお宮参りの写真に祖父母は写っていいの?
近年では、お宮参りと記念写真撮影がセットになっているプランも取り扱われていることから、多くの家族がフォトスタジオや、神社に併設されている写真館で記念写真を撮影します。しかしなかには、「写真に写るのは家族だけか、否か」と悩む人もいるのではないでしょうか。核家族の場合でも、三世帯同居の場合でも、夫婦のみで写るべきか、それとも祖父母を入れるべきか、入れるとしたら父方か、母方か……と悩むこともあるはずです。
結論からいえば、祖父母は写っても写らなくても構いません。ただ、前述のように、お宮参りにおいて赤ちゃんを抱くのは父方の祖母ですから、撮影時にも自然と写っていることが多くなります。ただし現代では、母親が赤ちゃんを抱いていることのほうが多くなってきており、そのまま夫婦と赤ちゃん・赤ちゃんの兄弟姉妹で写ることも多くなっています。
また実家・義実家と折り合いが悪く、子どもの行事に呼びたくないというケースには、無理に祖父母を招待して一緒に撮影する必要はありません。家族のみで撮影し、その後父方祖父母や母方祖父母を交えて撮影するというように、何パターンか撮影することで、祖父母もお宮参りで写真に写ることができます。せっかく参拝したのに写真に写れないと、孫との思い出を残せずに落胆する祖父母もいるはずです。このような事態が起こり得ることを考えると、祖父母を入れたパターンも考えておくとよいでしょう。
お宮参りで写真を撮るときの注意点
お宮参りは一生に一度であり、赤ちゃんにとって生まれて初めての行事でもあります。そのため、写真に残して生涯の思い出にしたい人も多いでしょう。そこで、以下にお宮参りの際に写真撮影をする場合に注意したほうがよいことをご紹介します。
撮影にかかる費用をあらかじめ計算しておく
昔はお宮参り後、地元の写真館を訪れて撮影してもらうケースが多かったのですが、近年はおしゃれなフォトスタジオで安価に撮影することもできるようになりました。しかし、それでも費用はかかりますから、後で請求額を見て冷や汗をかかないためにも、1パターンの撮影ごとにいくらの費用がかかるのかを調べ、計算しておきましょう。またさまざまなパターンを撮影する場合、誰と誰が入って何枚撮るのか、何枚現像して誰に渡すのかといったところまで事前に決めておくと、撮影時の時間も短縮することができます。
自分で撮影するなら、三脚を用意するか、撮影者を同行させる
フォトスタジオで撮影する人もいますが、子どもが産まれたことをきっかけに一眼レフカメラなどのハイクラスカメラを購入する人も多くなっています。せっかくだからそのカメラを使って自分で撮影したいという人もいますが、もし自分で撮影する場合はオートタイマーを設定して撮影することになるため、必ず三脚を持参しましょう。
あるいは、写真撮影の上手な人を同行させるという方法もあります。プロのカメラマンではなくとも、兄弟姉妹や親戚でカメラの操作にある程度慣れている人を同行させれば、その場で撮影してくれる人を探さずに済みます。また、親戚なに頼むことで、「もう少しアップで」「ピントがずれているから撮りなおして」などの注文をしやすくなることもメリットとして挙げられます。
撮影のタイミングと重ならないように前もって授乳しておく
生後間もない赤ちゃんにとって、祈祷・撮影などを通して長時間外出すると、空腹やオムツの汚れなど、不快感情が高まって、いざ撮影という時に泣き出すことが多々あります。撮影の時間帯がある程度決まっているなら、御祈祷が済んだ後に授乳とオムツ交換をしておき、撮影時には万端の状態で臨めるようにしましょう。
まとめ
お宮参りは本来、赤ちゃんの長寿・健康・幸福を願って行われるものであり、参加する家族の服装は主役である赤ちゃんの装いによって変わります。また父方の祖母が赤ちゃんを抱くというしきたりから、撮影時に祖父母が写っていても構いませんが、後から両家で揉めることのないよう、家族のみのパターン、祖父母も交えたパターンなど、さまざまなパターンで撮影しておき、ぜひ素敵な思い出になるお宮参りにしてください。