お宮参りで着る産着に家紋は必要?産着の歴史も紹介

お宮参りでは、内着やベビードレスの上から赤ちゃんに掛ける産着(初着・祝い着・掛け着)は、赤ちゃんの性別によって選ばれる色や柄が異なります。

そして産着には家紋が入っている産着もあれば、入っていない産着もあります。

そのため家紋は必要なのか、それとも必要ないのかをきにする方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、産着に家紋を入れるべきなのかどうか、そして性別ごとの産着の柄やレンタルでも家紋が入れられるかどうかについてご紹介します。

産着の歴史

産着の歴史

お宮参りは、鎌倉時代頃から始まり、室町時代には現在のように一般化した日本古来の通過儀礼のひとつです。

赤ちゃんがこの世に誕生したことを、産土神(うぶすながみ)と呼ばれる、赤ちゃんが誕生した土地を守る神様に報告するという目的があり、神社を参拝してご祈祷をしてもらう行事になっています。

産着はこのお宮参りの際に着用する正式な服装です。室町時代には既に産着が着用されていて、古くから日本のお宮参りの正装として親しまれてきました。

そして、生後すぐに初めて袖を通す麻素材の肌着も「産着」と呼ばれますが、お宮参りの際に着用する着物を指して「産着」と言うこともあります。

地域やしきたりによって変わることもありますが、現代ではお宮参りに着用する着物を指すことが多くなっています。

産着の家紋について

産着は着物なので「紋付」の方が格式高く、家紋の数によって着物の格式が上がるとされています。

背中に家紋が 1つ入った一つ紋、それに加えて両袖の後ろに家紋の入った三つ紋、さらに両胸に家紋が入った五つ紋などの種類があります。

着物に入る家紋の数は五つが上限であり、格式も最も高いものになりますが、もちろん産着を買い上げる場合も相応の値段が伴います。

また家紋の入った産着を着る際には、「誰の家の家紋を入れたのか」に気をつける必要があります。

家長制度、「家」信仰の強い日本では、基本的に両親のうち、夫の実家の家紋が選ばれます。

婿入りした場合は、母方の実家の家紋を入れることもありますが、まだ婿入りが少ない現代の日本では、稀なケースといえます。

産着に家紋はあるもの?ないもの?

産着は後述するように、男の子・女の子と、性別によって色もデザインもまったく異なるだけでなく、産着に家紋が入るかどうかも性別によって違います。

家紋が入るのは、基本的には男の子のみです。しかし男児であっても産着に必ず家紋を入れる義務はなく、最近では家紋なしの産着も多くなっています。

女の子の場合は、多くの場合において家紋は入れませんが、入れてはいけないというしきたりはありません。

そのため女児でも入れる家庭もありますが、その場合は背中に一つ紋を入れるのが主流です。

また、家紋入りの産着が少なくなっている背景としては、産着を購入せずにレンタルで借りる方が増えているということもあります。

買い上げて産着を所有する場合は購入時に自由に家紋を入れることができますが、レンタル用の産着に家紋を入れる場合は、時間だけでなく、費用も別に必要になるケースが多いからです。

お宮参り着物の代表的な柄

男の子

男の子の産着は、黒・紺・白・ロイヤルブルー・深緑などが選ばれています。

熨斗目の生地に男の子らしい柄が入っており、高く飛ぶ(出世する)ことをイメージした鳳凰や鷹、

強さをイメージした龍や虎、勝負事の強さをイメージした兜などの柄が代表的です。

現代ではテレビなどで人気のキャラクターの柄のものも販売・レンタルされているため、なかにはこれらの柄の産着を選ぶ家族もいますが、写真に残るという理由からも、いまだに昔ながらの柄を選ぶ方が多くなっています。

女の子

女の子の産着は、赤・ピンク・オレンジ・水色・黄色などが選ばれています。女児の産着には、可愛らしく、女性らしい柄が用いられます。

たとえば手鞠(てまり)は気品にあふれ、身も心も丸々と健やかに育つようにという意味が込められています。

また、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という美人を例える言葉から、牡丹や芍薬といった和花柄も代表的です。

同じような理由で、その姿と羽の美しい鴛鴦(おしどり)柄もよく選ばれています。

レンタルで借りるときに家紋は入っている?

産着をレンタルする場合、 1着の着物を何人もの利用客でシェアすることになるため、特定の家紋を生地自体に入れることは難しくなっています。

しかし、レンタルの産着が 100%家紋を入れることができないわけではありません。

事前に連絡をしていれば、レンタル用でも家紋を一時的に入れてくれるサービスを提供しているレンタル業者もあります。

擦り紋を希望する場合は、買い上げるしかありませんが、後付けの家紋でも構わないのであれば、借りるという選択でも対応可能なショップを利用すれば、家紋を入れることができます。

まとめ

男児の産着の場合、産着に家紋を入れることがありますが、家紋を入れることは必ず必要というわけではありません。

「一族」「家」にこだわる方や、格式高い産着を赤ちゃんに着せたいという人は家紋入りの産着を着せる方もいますが、

家紋を入れることにこだわる必要はないでしょう。

女児の場合、家紋は基本的に入れないものですが、入れるなら背中の一つ紋の場合がほとんどです。

購入した産着の生地自体に擦り紋として家紋を入れることができますが、レンタル物の産着に擦り紋は入れることができないので注意しましょう。どうしても産着に家紋を入れたい場合は、一度レンタル業者に連絡をして、家紋を入れることが可能かどうかの確認を取るようにしましょう。